イエバタブログ

井江端重伸の個人的ブログ。食べ歩き・旅行記・子育て・写真等々

書評「博士の愛した数式」小川洋子著

      2016/04/19

「博士の愛した数式」=「数学」「阪神タイガース」「恋愛」

活字を読むのは決して早いほうではないが、小川洋子さんの文章が素晴らしく、2日くらいであっと言う間に読んでしまった。簡潔明瞭、少し硬いとさえ思える文章だが、「私」の博士への情がしっかりと伝わり、どこかやさしい文章にも思えた。

あらすじ

家政婦紹介組合から『私』が派遣された先は、80分しか記憶が持たない元数学者「博士」の家だった。こよなく数学を愛し、他に全く興味を示さない博士に、「私」は少なからず困惑する。ある日、「私」に10歳の息子がいることを知った博士は、幼い子供が独りぼっちで母親の帰りを待っていることに居たたまれなくなり、次の日からは息子を連れてくるようにと言う。次の日連れてきた「私」の息子の頭を撫でながら、博士は彼を「ルート」と名付け、その日から3人の日々は温かさに満ちたものに変わってゆく。

Wikipediaより

以下、ネタバレ等、初読の楽しさ、感動を損なう内容が含まれている可能性がある。ご注意いただきたい。

本書のテーマは大きく3つ

  • 数学
  • 阪神タイガース
  • 恋愛

一見バラバラなテーマではあるが、それらが全く違和感無く、とても自然に絡み合い物語が進行していく。

「数学」

博士の愛した数式
もっとも大きなテーマであるが、細かく理解できなくてもまったく問題は無い。作者の小川さんは取材されたか元々詳しかったのか分からないが、簡潔明瞭な文体が数学の明快さを際立たせているように感じられる。

「数学」と違いこちらの方は小川さんは初めから好きだったに違いない。年代もはっきりしている為、阪神ファンなら具体的な試合まで想像できる内容だ。

一人称形式で書かれており、「私」が過去の話であることをはっきりと述べていること等から、「今はどうなっているのか」を初めから意識して読むことになる。

「恋愛」

とても繊細な、恋愛と呼んで良いのか他の感情なのか分からないような、複雑な感情が描かれてる。「私」を動かす原動力が何だったのか。結局最後まで具体的に語られることはく、読者の想像にゆだねられている。

総評

僕の読解力不足から、所々「ん?」と思う記述、設定等はあったものの、そんなことは問題じゃないほどストーリーに引き込む力のある作品だ。はまると本当にグイグイと引き込まれている。個人的にはお勧めの作品だ。

余談だが、東京で働いていた頃、思い立って、財務系の社会人大学院に通うことにした。すっかり忘れてしまった中学・高校の数学を総復習する必要があったのだが、数学の楽しさにのめり込み、「数学ガール」シリーズとか、「オイラーの贈物」とか数学関連の読み物も(手を動かしながら)読み漁った。学生の頃は数学は大嫌いだったけど、社会人になってからの方が勉強した気がする。

関連作品


関連作品も多く作られている。寺尾聰さん、深津絵里さん出演の、映画がもっとも有名だと思うが、マンガやドラマCDなども作られているそうだ。



映画はdTVでも視聴できる。初回31日間無料なので、実質無料で視聴可能だ


dTV「博士の愛した数式」

 - 感想色々